記者のインサイダー取引疑惑に対し、NHK会長が辞任した。二代続けて会長が引責辞任するような事態に、日本国民の大半は怒り心頭だ。NHKの新会長の福地茂雄は、「法令遵守徹底へ向け変革」などと言っている。はたしてNHKは信頼を取り戻せるだろうか? 

しかし、僕が思うに、本当に怒るべきことは、NHKのこういった不祥事ではなく、提供するサービス自体の質の低さではないかと思う。

テレビ・ラジオ番組等、NHKのサービスの質を考えるには、他の国の公共放送と比べるのがてっとり早い。まず公共放送のベンチマークとしてイギリスのBBCと比べてみたい。

今時だいたいそこの局のWebサイトを見れば、サービス内容のレベルは分かる。ちょっと下のリンクを開いて見て欲しい。

NHKのサイト

BBCのサイト

公共放送と聞いて、まず第一に大切なのはニュース報道だろう。ドキュメンタリーなど他の番組を制作するにせよ、さまざまなニュースのネットワークが番組づくりのための情報収集の基礎となるはずだ。

以下のリンクで、BBCのニュース情報量、ジャンル、バラエティを見て欲しい。

BBCニュース

それにくらべNHKのホームページの<ニュース報道>をクリックすると・・・・

NHKニュース

・・・と、単に番組の紹介でしかない。

NHKは、テレビやラジオで放送する分くらいしかろくに取材もしていないのだろうか? 単にWebサイトを軽く考えているのだろうか? 
それに比べ、BBCは、Webに載せている何百というニュースの中から、厳選してテレビ放送用のニュース番組を制作しているのが、Webサイトを見れば分かる。毎時のニュースの終わりに「番組で紹介しきれなかったものは、BBC New.comを見てくださいね」と必ずニュースキャスターが一言付け足す。(BBCだけでなく、今時、普通どこもそうしている)

NHKというのは、後で触れるが、"ハイビジョン"のような莫大な予算を消費するものには、やたら熱心だが、ハイテク自体の話題にはまるで無関心だ。ニュースでiPodのような具体的な商品名を出すことを避ける、といった昔ながらの極端な「コマーシャリズム潔癖性」とでもいう体質も原因だろうが、今や身近なメディアとなったWebをまともに利用していないというのは、時代錯誤もはなはだしい。

BBCでは、他に先駆けいち早くpodcast(ポッドキャスト)を導入したし、週一回テレビの「Click」とかラジオの「Digital Planet」で、情報テクノロジーやテジタル機器、インターネット活用の最先端を我々に紹介してくれる。


「BBCは歴史があるし、ちょっと別格でしょう」という人もいるかもしれないので、日本よりずっと人口の少ない国・オーストラリアの国営放送ABCのニュースのページとも比較してみよう。

ABCニュース

NHKは、最近次世代のハイビジョン放送「スーパーハイビジョン」の開発を進めている。
スーパーハイビジョンの記事(BBC)
*ちなみに<ハイビジョン>は和製英語で、英語では<High-Definition (HD)>
と言う。
せっかく、こうしたすごい技術を莫大な費用をかけて開発するなら、その技術に負けないような、もっとよい番組を作って、BBCのように世界中に番組を売れるぐらいにならなってもらいたい。


*****
サカナマンのコメント:
あんまりNHKの悪口ばっかし言ってると、NHKのヒットマンに狙われるぞ!