BBCラジオの番組で、欧州通貨危機をお芝居風に、分かりやすく説明していたので、今日はそれを紹介したい。
「BBC Radio 4 『The Now Show』」より
昨日、デイヴィッド・キャメロン(イギリス首相・British Prime Minister)が、ベルリンに飛んで、アンゲラ・メァケル(ドイツ首相・German Chanceller)にユーロ圏危機(Euro zone crisis)についての意見を伝えに行きました。
メァケル:ハーイ、デイヴィッド。ああよかった。私心配してたのよ。あんたんところ(イギリス)、ユーロ圏に入ってないし、1月には財政協定(fiscal compact)にも合意しようとしてくれなかったし、もう重要な案件についての意見交換できないかと思ってたところなのよ。ほっとしたわ。ユーロボンドに関しては・・・ちょっと待ってよ。ええと・・・。
◆ここから先は、わかりやすくたとえ話(analogy)を使って説明します◆
登場人物(国)
ドイツ人(アンゲラ・メァケルをモデルにした?の女性)
イギリス人(男性・デイヴィッド・キャメロンをモデルにした?男性)
スペイン人(男性)
ギリシャ人(男性)
フランス人(女性)
ドイツ人とスペイン人とギリシャ人がレストランに入りました。
アイルランド人とフランス人、キプロス人も一緒です。一方イギリス人は、「辛い食べ物をどうするか」といった議論のあげく、来るのを拒みました。
彼らは、食べ過ぎたりお金の使い過ぎたりしないように、あらかじめ基本ルールを定めました。
ドイツ人:あなたがた、いいこと。このコースでは、一人1ドリンクオンリー。ロブスターなんて頼んじゃだめよ。分かった?
<喩えの意味:つまり、各国とも財政赤字を GDP の3%以下に抑制するという合意>
スペイン人:ほら、言ったろ。楽しくなるぞって。
みんなそれぞれ楽しいひとときを過ごしました。しかし自分たちで定めたルールに対しては各国違った対応をしていました。
あるものは、ルールを少しねじ曲げたりしました。驚かれることでしょうが、たとえばドイツです。
ドイツ人:ちょっと料金が高くなるかもしれないわね。私は用心して前もってキャベツやポテトを食べておいたわ。
<つまり、ドイツにはしっかりとした製造業の基盤があるということ>
あるものは、しっかりと合意を守っていました。ちょっと驚きですがスペインです。
スペイン人:いや、いや、もうXXグラフィア(*料理の名前だが聴き取れず)はこの辺でやめとくよ。合意があるからね。それは許されないんだ。
一方、ギリシャ人は・・・
ワインはガブ飲み、バーで踊りまくり(グラスを割りまくり)暴れまくり、ロブスターを帽子がわりにかぶったり・・・。
ディナーが終わると、もちろん勘定書が来ました。
<好景気に沸いた後の、2008年の経済危機のことです>
そして二日酔いが・・・
ドイツ人:さあ、みんな、自分が飲み食いした分は払うのよ。
スペイン人:あれまあ、どうやら財布を持たずに来ちゃったみたいだ・・・。ハハハ。
とりあえず、財布を持った者は、持ってない人達にお金を貸すしかありませんでした。みんなレストランから追い出されないようにするためには。
<つまり、「ユーロが崩壊しないためには」という意味>
ドイツ人:OK、お金貸すけど、ポット一杯のブラックコーヒーを飲むことが条件よ!
<ブラックコーヒーとは、つまり緊縮財政(austerity measures)のこと。ただ、このコーヒーを飲むたびに、勘定書の料金に追加されます。緊縮財政は経済成長の足かせになるため、ドイツはまた代金を支払わなければなりません>
ある国での緊縮財政は、他の国々より過酷なものになるケースも出てきます。
○ 酔いつぶれたギリシャ人の頬を軽く平手で叩いて起こすドイツ人
ドイツ人:ねえ、ギリシャさん。目を覚まして! このコーヒーを摂るのよ!
ギリシャ人:ええ、6本も?
ドイツ人:そうよ。
○ コーヒーを飲もうとするギリシャ人。ドイツ人が止める。
ドイツ人:ちょっと待って、違うの。浣腸で注入するのよ。
ギリシャ人は、そんなことまでする価値があるのだろうかと疑問に思います。
ギリシャ人:うーん、こうなったら他のレストランにもお金を払わず行っちゃおうかなあ。
<つまり、ユーロ圏での債務不履行>
ギリシャ人:うん、ちょっと考えがある。
<つまり、ギリシャでの再選挙>
ギリシャ人:そうすれば、俺がここに残って、コーヒー浣腸を受け入れるか、それともレストランの料金を踏み倒して、キャットフードを食いながら生き残るかをみなさんにお知らせできるでしょう。
<キャットフード=ドラクマ(ユーロ以前にギリシャが使用していた通貨)に戻ること>
そうこうするうちに、こんどはスペインが、合意に忠実だったにもかかわらず、個人や私企業が好景気の間にお金を借りすぎて、銀行がそれらの負債に対処しきれなくなりました。
○ アルコール度の高いウォッカゼリーの食べ過ぎで泥酔するスペイン
次はスペインが多額の金融支援を必要としています。それを見てドイツ人は「もううんざり」と怒ります。
ドイツ人:ちゃんと財布もってきてるの私だけなの!
それがイギリスが昨日ベルリンに来た経緯なのです。
イギリス人:ええと、お取り込み中おじゃましてすみませんが・・・。私自身は、他のレストランで酔っぱらってたんですけどね、(イギリスはユーロ圏外).
あなたがたのところが問題になると、うちのほうも問題になるんで、心配してるんですよ。てなわけで、こうしてアドバイスをしに来たんです。
ドイツ人:そう、ありがと。(全然ありがたそうでなく)
イギリス人:みんなで勘定を平等に割ったらどうでしょうか?
<つまり。ユーロ債の発行を意味します>
ドイツ人:それは不公平でしょう。私は「スルバッキオ」とかなんとか言うポルトガル名物料理は食べてないんですからね。もし割り勘を私が受け入れるとしたら、これから一緒に外食するときは、どこのレストランで何を食べるか私に一任して財布も預けるのが条件よ。
<つまり財政同盟(fiscal union)の導入>
フランス人:それ絶対だめよ。だって前にあなたに任せたら、ひどい所に連れてかれちゃったじゃない。
<第二次世界大戦のこと>
ドイツ人:すぐそのことを持ち出すのね。
さてすでに時計は午前3時を回っています。ギリシャ人はすでにトイレに籠もって窓から片足を出しています。レストランの用心棒は今にもスペインを放り出そうとしています。誰かが彼の食べたウォッカゼリーの代金を払わない限り・・・。
フランスは今週、定年を62歳から60歳に引き下げました。基本的に・・・
フランス人:何をぐずぐずしてるの。私シャンパンがボトルで欲しいわ。
そしてイギリスは、ドアの近くに立ち、「ああ、俺はこの仲間でなくてよかった」と喜びながらこの大騒ぎを傍観しています。この騒ぎに収拾をつけることが、自分にとっても非常に重要なことを知りながら・・・。
ラジオドラマを実際に聞きたい方、以下のリンクへどうぞ。
BBC Podcast: Friday Night Comedy from BBC Radio 4「The Now Show」
◆◆◆◆◆◆
サカナマンのコメント:
こんなんでニュースが分かるようになるのか? コメディじゃないか。
「BBC Radio 4 『The Now Show』」より
昨日、デイヴィッド・キャメロン(イギリス首相・British Prime Minister)が、ベルリンに飛んで、アンゲラ・メァケル(ドイツ首相・German Chanceller)にユーロ圏危機(Euro zone crisis)についての意見を伝えに行きました。
メァケル:ハーイ、デイヴィッド。ああよかった。私心配してたのよ。あんたんところ(イギリス)、ユーロ圏に入ってないし、1月には財政協定(fiscal compact)にも合意しようとしてくれなかったし、もう重要な案件についての意見交換できないかと思ってたところなのよ。ほっとしたわ。ユーロボンドに関しては・・・ちょっと待ってよ。ええと・・・。
◆ここから先は、わかりやすくたとえ話(analogy)を使って説明します◆
登場人物(国)
ドイツ人(アンゲラ・メァケルをモデルにした?の女性)
イギリス人(男性・デイヴィッド・キャメロンをモデルにした?男性)
スペイン人(男性)
ギリシャ人(男性)
フランス人(女性)
ドイツ人とスペイン人とギリシャ人がレストランに入りました。
アイルランド人とフランス人、キプロス人も一緒です。一方イギリス人は、「辛い食べ物をどうするか」といった議論のあげく、来るのを拒みました。
彼らは、食べ過ぎたりお金の使い過ぎたりしないように、あらかじめ基本ルールを定めました。
ドイツ人:あなたがた、いいこと。このコースでは、一人1ドリンクオンリー。ロブスターなんて頼んじゃだめよ。分かった?
<喩えの意味:つまり、各国とも財政赤字を GDP の3%以下に抑制するという合意>
スペイン人:ほら、言ったろ。楽しくなるぞって。
みんなそれぞれ楽しいひとときを過ごしました。しかし自分たちで定めたルールに対しては各国違った対応をしていました。
あるものは、ルールを少しねじ曲げたりしました。驚かれることでしょうが、たとえばドイツです。
ドイツ人:ちょっと料金が高くなるかもしれないわね。私は用心して前もってキャベツやポテトを食べておいたわ。
<つまり、ドイツにはしっかりとした製造業の基盤があるということ>
あるものは、しっかりと合意を守っていました。ちょっと驚きですがスペインです。
スペイン人:いや、いや、もうXXグラフィア(*料理の名前だが聴き取れず)はこの辺でやめとくよ。合意があるからね。それは許されないんだ。
一方、ギリシャ人は・・・
ワインはガブ飲み、バーで踊りまくり(グラスを割りまくり)暴れまくり、ロブスターを帽子がわりにかぶったり・・・。
ディナーが終わると、もちろん勘定書が来ました。
<好景気に沸いた後の、2008年の経済危機のことです>
そして二日酔いが・・・
ドイツ人:さあ、みんな、自分が飲み食いした分は払うのよ。
スペイン人:あれまあ、どうやら財布を持たずに来ちゃったみたいだ・・・。ハハハ。
とりあえず、財布を持った者は、持ってない人達にお金を貸すしかありませんでした。みんなレストランから追い出されないようにするためには。
<つまり、「ユーロが崩壊しないためには」という意味>
ドイツ人:OK、お金貸すけど、ポット一杯のブラックコーヒーを飲むことが条件よ!
<ブラックコーヒーとは、つまり緊縮財政(austerity measures)のこと。ただ、このコーヒーを飲むたびに、勘定書の料金に追加されます。緊縮財政は経済成長の足かせになるため、ドイツはまた代金を支払わなければなりません>
ある国での緊縮財政は、他の国々より過酷なものになるケースも出てきます。
○ 酔いつぶれたギリシャ人の頬を軽く平手で叩いて起こすドイツ人
ドイツ人:ねえ、ギリシャさん。目を覚まして! このコーヒーを摂るのよ!
ギリシャ人:ええ、6本も?
ドイツ人:そうよ。
○ コーヒーを飲もうとするギリシャ人。ドイツ人が止める。
ドイツ人:ちょっと待って、違うの。浣腸で注入するのよ。
ギリシャ人は、そんなことまでする価値があるのだろうかと疑問に思います。
ギリシャ人:うーん、こうなったら他のレストランにもお金を払わず行っちゃおうかなあ。
<つまり、ユーロ圏での債務不履行>
ギリシャ人:うん、ちょっと考えがある。
<つまり、ギリシャでの再選挙>
ギリシャ人:そうすれば、俺がここに残って、コーヒー浣腸を受け入れるか、それともレストランの料金を踏み倒して、キャットフードを食いながら生き残るかをみなさんにお知らせできるでしょう。
<キャットフード=ドラクマ(ユーロ以前にギリシャが使用していた通貨)に戻ること>
そうこうするうちに、こんどはスペインが、合意に忠実だったにもかかわらず、個人や私企業が好景気の間にお金を借りすぎて、銀行がそれらの負債に対処しきれなくなりました。
○ アルコール度の高いウォッカゼリーの食べ過ぎで泥酔するスペイン
次はスペインが多額の金融支援を必要としています。それを見てドイツ人は「もううんざり」と怒ります。
ドイツ人:ちゃんと財布もってきてるの私だけなの!
それがイギリスが昨日ベルリンに来た経緯なのです。
イギリス人:ええと、お取り込み中おじゃましてすみませんが・・・。私自身は、他のレストランで酔っぱらってたんですけどね、(イギリスはユーロ圏外).
あなたがたのところが問題になると、うちのほうも問題になるんで、心配してるんですよ。てなわけで、こうしてアドバイスをしに来たんです。
ドイツ人:そう、ありがと。(全然ありがたそうでなく)
イギリス人:みんなで勘定を平等に割ったらどうでしょうか?
<つまり。ユーロ債の発行を意味します>
ドイツ人:それは不公平でしょう。私は「スルバッキオ」とかなんとか言うポルトガル名物料理は食べてないんですからね。もし割り勘を私が受け入れるとしたら、これから一緒に外食するときは、どこのレストランで何を食べるか私に一任して財布も預けるのが条件よ。
<つまり財政同盟(fiscal union)の導入>
フランス人:それ絶対だめよ。だって前にあなたに任せたら、ひどい所に連れてかれちゃったじゃない。
<第二次世界大戦のこと>
ドイツ人:すぐそのことを持ち出すのね。
さてすでに時計は午前3時を回っています。ギリシャ人はすでにトイレに籠もって窓から片足を出しています。レストランの用心棒は今にもスペインを放り出そうとしています。誰かが彼の食べたウォッカゼリーの代金を払わない限り・・・。
フランスは今週、定年を62歳から60歳に引き下げました。基本的に・・・
フランス人:何をぐずぐずしてるの。私シャンパンがボトルで欲しいわ。
そしてイギリスは、ドアの近くに立ち、「ああ、俺はこの仲間でなくてよかった」と喜びながらこの大騒ぎを傍観しています。この騒ぎに収拾をつけることが、自分にとっても非常に重要なことを知りながら・・・。
ラジオドラマを実際に聞きたい方、以下のリンクへどうぞ。
BBC Podcast: Friday Night Comedy from BBC Radio 4「The Now Show」
◆◆◆◆◆◆
サカナマンのコメント:
こんなんでニュースが分かるようになるのか? コメディじゃないか。
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