夜、のどが乾いてビールが飲みたくなって近所のコンビへ行った。この季節だと、缶ビールなんか買っても、家に戻る間に少し温くなってしまう。こういう時こそ、よく冷えたのをぐいっと飲みたい。そんなところで見つけたのがキリンの「ICE + BEER」という氷で冷やして飲むタイプのビール。

「これなら、多少温くなっても、家帰ってから氷を入れれば冷えたのを飲める」

そう思ってこれを手に取った。しかし一応保険に、エビスを一つ買うことを忘れなかった。

昔タイでは、一般家庭で冷蔵庫がないため、ビールに氷を入れて飲んでいたような話を聞いたことがある。実際になんどかタイへはここ十五年ぐらい何度か訪れているが、ビールに氷を入れて飲んだこともないし、飲んでいるところも見たことが無い。やはり家飲みする人には、氷を入れる人がいるのだろうか。

シンガポールのビール会社だがタイガー(Tiger)というビールがあって、アルコール度が8%もある強めのビールを飲んだことがある。これは氷を入れても薄くならないようにそうなっていたらしい。僕がこれを飲んだのは15年ぐらい前のマレーシアだったが、今は売っていないはずだ。

さて、家に戻るとさっそく氷とグラスを用意する。缶には「エール」と書いてある。エールタイプのビールなのか。グラスに氷を入れてから注ぐと、このビールは琥珀色をしていて、ちょっと甘い独特の香りがある。

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ちなみに、エールというのは、イギリス辺りではよく飲まれるようだが、麦芽酵母を常温で短期間で発酵させて造るため、独特のコクとフルーティーな甘い香りがする。

この写真。なんだかうまそうでしょ。ところが・・・。

飲む前に、缶に記載された原材料を読んで見た。「麦芽、ホップ、スターチ」ここまでは日本の普通のビールと一緒。その下に、なんと「糖類(乳糖)」とある。何!乳糖だと??

それを見た瞬間、エール独特の甘い香りだと思っていたのが、ビールに普通の甘い清涼飲料水を混ぜたような匂いに感じてきた。正体を見破ったからだろうか。麦芽を発酵させ自然に出た風味ではなく、乳糖で無理矢理つけた匂いと味なんて・・・。まるで豚骨を全く使わず造られるインスタントの豚骨ラーメンみたいじゃないか。

確かにエールの味がするが、なにか後味が良くない。良くできてはいるが、心理的なものだろうか。

アルコール度は5.5%と、氷が溶けるのを考慮して若干高めになっている。だからって、どうっていうことはない。
これなら、普通のビールに氷を入れた方が、すっきりさわやかな気がする。「これが美味しい」という人がいても不思議ではないが・・・。

「夏季限定」と書いてあったが、この商品、この夏で絶滅種になるのでは。これからは、おとなしくラガーとか一番絞りを買って飲みます。