どこでも出没する「Macの動作が遅くないですか」

「Macの動作が遅くないですか(Slow Mac?)」「Clean your Mac」とかいう広告をよく見かけることがあるのではないでしょうか? そもそもあれ、なんだろう、と思いつつ、何となく怪しい広告かな、とクリックするのをやめておいたり、好奇心で思わず開いて見たりと、皆さん様々な反応をされることでしょう。

気になって、Googleなどで<MacKeeper>を検索すると、「ありゃ悪質なウィルスだ」「詐欺だ」「入れたらよけいMacの動作が遅くなった」「一度入れたら最後、削除しようとしても完全にはアンインストール出来ない」「ハードディスクのデータを全部消されちゃった」「広告が表示されるだけでメモリーを大量に消費される」「ポップアップ広告がうっとうしい」などという結果がどんどん出てくる。日本のブログでもボロクソ書かれているし、アメリカでもMackeeper の悪評はどとまるところを知らない。

その一方でITやMac関係のプロのライター達からは非常に高い評価を得ており、一つも苦情めいた批評とか、データが消されたといったことは書かれていないようだ。
評価の一例:Keep your Mac tidy with Mackeeper」(TUAW)

なぜプロの人達に高い評価を得ているものが、一般ユーザーからは酷評されるのか? さっぱり訳がわかりません。


Cult of MacがMackeeperの開発会社を取材

そんな謎を突き止めるべく、アップル製品情報サイトとして有名な「Cult of Mac」のLeander Kahney 記者が調査をした記事があるので紹介したい。

まずは、Kahney記者はセキュリティソフトウェアを出しているZeobit 社とNorton(ノートン)で有名なシマンテック社を当たって、疑問をぶつけた。 「Is Mackeeper really a scam?(Mackeeperは本当に詐欺か?)」(Cult of Macより)

Zeobit社のPRディレクターのJeremiah Fowler氏は、自社の悪評について、「MacユーザーはMacはマルウェア(悪質なPCウィスルやソフトウェア)に影響されることはないので、ウィルス対策ソフトは要らないと信じているから、Mac用のウィスル対策やセキュリティソフトウェアを出しているだけでも『詐欺』ということになるらしいんだ」と語る。
「インターネットだと匿名だから気軽な気持ちで世に出ている製品とかサービスのことをけなす人ことができるんだろうね。私たちも150人の社員がいて、自分たちの会社で作っている製品とそのユーザーの皆さんのことを大切に思っているんです」とEメールで答えた。

シマンテック社のMac製品部長のMike Rome氏も電話でのインタビューで、同じようなことを語った。「うちの会社はMac向けのセキュリティ製品を売るというその考え方自体を批判されているようです・Macユーザーには、セキュリティ製品を全く必要のないものだと考え、むしろOS Xの機能を損なうものとすら考える人がいます。しかも、そういう人達のコミュニティは声を大にして叫びますからね。お絵かきソフトでも作っていた方がよっぽど楽でしょうね」

このシマンテックのRomo氏も筋金入りのMacユーザーで、Zeobit社と同じようなことを言っている。「批判的な人に実際にセキュリティ製品を使ってみたのか、と尋ねると十中八九は「使ったことは無い」と答えるですよ」「私たちは嫌われることに慣れちゃいました。けど、私たちは自分たちがやっていることが好きだし、信じているんです」と語った。


Mackeeper悪評の原因

Zeobit社のFower氏は、自社がインターネットの掲示板で叩かれっぱなしの「パンチバッグ」になっていることには4つの理由があると言う。
①ライバル社のネガティブキャンペーン
②Zeobit社のアグレッシブな広告手法
③手の付けられないアフィリエイトプログラム
④正当なソフトウェアである「Mackeeper」と悪質なマルウェア・トロイの木馬の一種である「MacDefender」の混同

MacKeeperの悪評は、ネット上の広告によるところが大きく、広告担当会社がしつこいポップ広告も含め、所かまわず宣伝を出していること、アフィリエイトプログラムの乱用といったことが原因となっている。Zeobit社のこの安っぽいマーケティングは、コントロールの及ばないサードパーティーによるものであるようだと、とKahney 記者は考える。

そもそも、Zeobit社が狡猾なウィルスを作るハッカー集団みたいなものではないか、という当てずっぽうの非難は全く的外れだろう。なぜなら、この会社はMacWorld Exp(アップル社自身も参加するアップル製品の発表や展示を行うイベント・2009年まで開催されていた)のスポンサーの一つであった。それに現在でもアップル公式ストアでMackeeperのライトバージョンである「911 Bundle」という製品が売られている。アップルストアでは、マルウェアを当然ながら厳しく審査しているから、悪意のあるプログラムと言うことはあり得ない。

Cult of Macのオリジナルの英文記事には、Mackeeperの悪評の原因について、MackeeperのPRディレクターのJeremiah Fowler氏から「Cult of Mac」へ当てたメールが全文掲載されている。リンク先はこちら。

また、MackeeperのオフィシャルYoutubeチャンネルは以下のリンク先へ
http://www.youtube.com/MacKeeperTV


結論:Mackeeper 悪くない製品みたいです。ただこの元記事のコメントには、「やっぱり俺には不要」とか「広告会社が勝手に暴走して・・・っていうのはありえるのかなあ。俺ならクビにするけど」っていう意見は多いみたいです。